先に結論。
フルサイズミラーレスのデメリットは、主にサイズと重量の増加、総コストの上昇、被写界深度(ピント)のシビアさ、そして電子シャッター特有のローリング歪みなどです。用途によってはAPS-Cやマイクロフォーサーズのほうが扱いやすい場面もあります。各社の公式解説や技術資料を踏まえつつ、公平に整理します。具体的なシーン別の向き・不向きもやさしく解説します。
根拠の一部:センサー寸法や作法の違い、作例傾向、電子シャッターの特性はメーカーや専門メディアの情報で確認できます。例えばフルサイズ=36×24mm、APS-C=約23.6×15.7mm(Canonは22.2×14.8mm)といった基礎寸法は複数の解説で一致しています。これがレンズサイズやシステム重量、ボケ量に影響します。
- フルサイズミラーレスのデメリット【先に要点】
- デメリット①:本体・レンズが重い/大きい(携行性の低下)
- デメリット②:総コストが上がりやすい(ボディ+レンズ+周辺機材)
- デメリット③:被写界深度が浅くピントがシビア
- デメリット④:電子シャッターのローリング歪み(読出し速度の影響)
- デメリット⑤:望遠域でサイズ・価格が跳ねやすい/旅行や日常で“持ち出しにくい”
- APS-C/マイクロフォーサーズとの違いを簡単比較
- シーン別の最適解(旅行/子ども運動会/野鳥/夜景/動画)
- ただし例外も:小型・軽量フルサイズや新技術で緩和
- 後悔しない選び方チェックリスト
- よくある質問(FAQ)
- まとめ:フルサイズ=万能ではない。長所とトレードオフを理解して満足度を上げる
フルサイズミラーレスのデメリット【先に要点】
- 本体・レンズが重い/大きいので、長時間の持ち歩きや旅行で負担になりやすい。
- 総コストが上がりやすい(ボディ価格+大口径レンズ+周辺機材が高めになりがち)。
- 被写界深度が浅くなりやすいため、同じ構図で撮るとピント合わせがシビアに感じることがある。
- 電子シャッターのローリング歪みに注意。高速読み出しや積層センサーで緩和の流れはある。
- 望遠撮影ではサイズ・価格が跳ねやすい(長玉が大きく重くなる)。APS-Cは画角的に有利な面がある。
デメリット①:本体・レンズが重い/大きい(携行性の低下)
センサーが大きいほど、同じ明るさ・同等の画角をカバーするレンズは物理的に大きく・重くなりがちです。これは光学設計上の必然で、各社の解説でも「フルサイズはセンサーが大きい=機材も大きくなりやすい」という前提が繰り返し説明されています。
旅行や街歩きのスナップで「今日は軽く行きたい」という日に、フルサイズ+標準ズームが約1kg前後になる組み合わせも珍しくありません。軽快さ重視ならボディやレンズの重量上限を先に決めるとブレにくいです。
デメリット②:総コストが上がりやすい(ボディ+レンズ+周辺機材)
フルサイズはボディ価格だけでなく、同等の画角・明るさのレンズ価格も高めになりやすい傾向があります。フィルター径が大きくなると、ND/PLフィルターやステップアップリングもサイズアップし、三脚の耐荷重もより高いものが欲しくなるなど、周辺まで波及します。
一方でメジャーな焦点域は各社から選択肢が増え、軽量F4通しズームや小型単焦点のラインナップも拡充しています。ここは「必要な焦点域と絞り」を明確にして、無理なく始められる構成を選ぶのが現実的です。
デメリット③:被写界深度が浅くピントがシビア
同じ構図・同じ被写体サイズで撮ると、フルサイズはAPS-Cより被写界深度(ピントの合う範囲)が浅くなりやすい、という説明が一般的です。背景をやわらかくぼかしやすい一方で、人物の目に合わせるAF設定や少し絞る運用などのコツが必要になります。メーカーの公式解説でも、フルサイズは「より浅い被写界深度」を得やすい旨が示されています。
なお、「同じレンズ・同じ絞り・同じ距離」でセンサーだけが違う比較は実用上は少なく、現場では構図をそろえるために焦点距離や位置を変えます。その結果としてボケ量の体感差が出ます。理解のポイントは「構図がそろうとフルサイズは浅くなりやすい」です。
デメリット④:電子シャッターのローリング歪み(読出し速度の影響)
電子シャッターはセンサーを上から下へ順に読み出す方式のため、被写体やカメラの横方向の動きが速いと、被写体が傾いて写るローリング歪みが発生する場合があります。メーカーの製品情報でも「電子シャッター使用時には歪みが生じることがある」との注意が記載されています。
一方で近年は高速読み出しや積層型(stacked)センサーによって、歪みの影響を抑える方向に進化しています。実際に「従来比で歪みを低減」といったアナウンスが見られます。とはいえ競技撮影・高速パンなどでは、機種差や撮り方の工夫がまだ重要です。
デメリット⑤:望遠域でサイズ・価格が跳ねやすい/旅行や日常で“持ち出しにくい”
野鳥・運動会などの望遠主体のシーンでは、フルサイズは同じ画角を得るための焦点距離が長くなりがちです。APS-Cは1.5倍(Canonは1.6倍)の画角“相当”になるため、より短い焦点距離で狙える=小型・軽量・低コストにまとめやすい利点があります。
また、ボディ+標準ズームでの総重量が心理的なハードルになり、「今日はスマホでいいか」と持ち出し頻度が下がるケースもあります。撮影の楽しさを優先するなら、軽さ重視の構成(F4通しズーム+小型単焦点など)を一度検討してみるのも良い選択です。
APS-C/マイクロフォーサーズとの違いを簡単比較
観点 | フルサイズ | APS-C |
---|---|---|
センサー寸法 | 約36×24mm | 約23.6×15.7mm(Canonは22.2×14.8mm) |
ボケ量(同構図) | 浅くなりやすい(背景をぼかしやすい) | 深くなりやすい(ピント合焦の歩留まりに寄与) |
機材サイズ・重量 | 大きく重くなりやすい | 小型・軽量にまとめやすい |
望遠撮影 | 長い焦点距離・大型レンズが必要になりやすい | 画角的に有利。短い焦点距離で到達しやすい |
コスト感 | 総コストが上がりやすい | 同用途で抑えやすい |
※センサー寸法とクロップ係数は各社の基礎解説で確認できます。
シーン別の最適解(旅行/子ども運動会/野鳥/夜景/動画)
- 旅行・スナップ:軽快さ重視ならAPS-C有利。夜景やダイナミックレンジ重視ならフルサイズの高感度耐性が活きる場面もあります。
- 子ども運動会:遠い被写体と速い動き。APS-Cの到達画角の利点や軽量ズームの取り回しが効きやすい。
- 野鳥・航空機:長玉が必要になりやすく、機材重量が課題。APS-Cで軽量構成にする発想も有効。
- ポートレート:フルサイズは背景ボケを作りやすいが、ピントはシビア。AF設定(瞳AF)や絞りの選択で安定化を。
- 動画:電子シャッターの歪みを把握し、読み出しの速い機種や設定で対策。
ただし例外も:小型・軽量フルサイズや新技術で緩和
近年は小型軽量ボディや軽量F4ズーム、コンパクトな単焦点の選択肢が増えました。さらに積層型センサーなどの技術で電子シャッター由来の歪みを低減する動きも続いています。製品情報でも「従来比で歪みを抑制」などの表現が見られます。
後悔しない選び方チェックリスト
- 撮るもの:人物/風景/旅行/運動会/野鳥など。
- 必要な到達画角:何mm相当がどれくらい必要か(APS-Cは1.5×、Canon APS-Cは1.6×で換算)。
- 許容総重量:ボディ+日常装着レンズで何gまでなら無理なく持てるか。
- 予算配分:目安はボディ3:レンズ7。まずは標準ズーム+単焦点1本など、運用イメージから逆算。
- AF設定・撮影設定:動体はAF-C/瞳AF、電子シャッターの歪みが気になる場面はメカシャッターや読み出しの速い機種を選ぶ。
よくある質問(FAQ)
Q. フルサイズは初心者にはオーバースペック?
A. 目的次第です。人物のボケ表現や夜景を重視するなら満足度が高い一方、旅行や子どもの行事など軽快さ・到達画角が大切なシーンはAPS-Cの合理性も見逃せません。まずは撮るもの×持ち出し頻度×総重量で選ぶのが無理がありません。
Q. 同じF2.8でもボケは違う?
A. 同じ構図で撮ると、フルサイズは浅い被写界深度になりやすく、背景をぼかしやすいという理解が一般的です。被写体の大きさをそろえる実用比較で差が出ます。
Q. 電子シャッターだけで撮っても大丈夫?
A. 日常スナップや静物では問題になりにくい一方、高速の動き・横振りでは歪みが出る場合があります。読み出しの速い機種や積層センサーは改善傾向です。競技や走る被写体は、状況に応じてメカシャッターや設定の工夫で対処しましょう。
まとめ:フルサイズ=万能ではない。長所とトレードオフを理解して満足度を上げる
フルサイズミラーレスのデメリットは、重量・サイズ・コスト・ピントのシビアさ・電子シャッターの歪みなどです。
一方で、ボケ表現や高感度耐性などの強みもあります。どちらが正解かではなく、自分の撮影シーン・持ち出しやすさ・予算から逆算するのが満足への近道です。
迷ったらまず軽量構成で始める、必要に応じてレンズを足す、競技や動体はメカシャッター/高速読み出し機を検討する、といった段階的な組み方がおすすめです。
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